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駄文。忘備FV

 投稿者:ほづみ  投稿日:2007年 5月10日(木)09時08分48秒
  Side K

………まったく。何を考え込んでいるのだか。
このお人よしは。
基本的に『人外』の前で銀を持って考えこむなんて自殺行為なんだぞ。
 狸寝入りの裡で積もる思いと言葉。でも、自分には始めから見えていた結末で。
それでも、羽虫のように灯火から離れられなくて、
こんなにも暖かさに飢えていたとは気づけなかった。
『同胞』が簡単に狩られていくのも肯ける。
微笑まれて、許されて、肯定されて・・・・・・・・・。
生命を繋ぐ糧のために命を奪う、やさしい狩り人。
孤独に埋もれてやさしさに飢える『俺達』が逆らえるはずもない。
 弱肉強食。糧無くして命を留められない、この地の理だ。
『我等』が「糧」は『我等』が「天敵」。「彼ら」はそれに気づかないだけで。
実は『我等』を滅ぼすのは容易い。死者を悼むように屠れば良い。
死者は悼みには弱いのだから。これが「人」の知らない本当の弱点。
「人」が思い描くのは「人」を憎み、他者を排除した『塞ぎし者』だから。
聞く耳を持たない『塞いだ者』とは違う。大多数の『我等』には有効な切り札。
慈愛と親愛にとても身近な思いやり。やさしくてあたたかい柔らかな感情たち。
心を癒して満たしてくれる日なたの想い。
だから、じかにあなたの生命となれずとも、あなたを潤す糧になりたいと願う。
この暖かさに眠るのなら、もう冷たい悪夢にうなされることもないだろう。
陽だまりの幸福に笑みがあふれてこぼれる。
現実に射す月影よりも、あなたのくれる思いの陽光に酔う。
なんて………あたたかい、今。
このまま、永遠のまどろみに堕ちてゆこう。
もう孤独に目を覚ますことがありませんように。
無邪気な子供のように一心に彼は希う。
祈りを途切れさせる無粋な音が響くまで。
 
 

駄文。忘備FV

 投稿者:ほづみ  投稿日:2006年12月 7日(木)09時44分25秒
  side S

ただ、無言のままに死の鎌を構える。
気の置けぬ、いや、倒すべき標的に向かって。
倒さなければ成らない、それが今回の依頼。
落ち着いた装いの寝台。淡い月光の反射に浮かぶ影。
こいつを倒して、生きるための糧を(金を)得る。
どこでも行われていること。俺の非日常的な日常。
『人間外』の生物を狩る。相手の弱点や油断を誘って倒す。
「人間」と相容れない人を捕食する生き物。
蜘蛛が昆虫を捕らえるように『彼等』は人の体液を主食とする。
いつものように、たわいなく騙された『彼』を嘲えば良い。
そしてこのたおやかな金属で息の根を止めて、次の仕事を探せば良い。
簡単なハズなのに。なぜ、この手は動かない。
幾多の眷属を屠って曇りひとつ見せない刃を機械的に振れさえしないなんて。
あどけない寝顔。なにか良い夢でもみているのか彼の口元がゆるんで微笑む。
月影に浮かぶ至福の笑みに、言いようのない感覚に陥る。
目に映る刃が、体が震えて。
握り締めた銀を留めていた手の揺れすら止められない。
力の失われたそこから、凶器が滑り落ちてゆく。
………音がすれば『彼』は起きるだろう。
「人」より感覚にすぐれた『彼』が目覚めないなんでありえない。
そうしたら………。知る、知られてしまう。自分の偽りを、裏切りを。
唯一、と差し出された手と眼差しがきっと変わってしまう。
失われるソレを思うだけで、指先から体の芯まで冷え冷えとした痺れに凍てついた。
見開かれた目の前で、落ちた白銀が絶望の音を奏でた。
 

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